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2012-05

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思想 - 2012.04.17 Tue

司馬遼太郎著の「世に棲む日々」に興味深い一文がありました。この作品は,吉田松陰,高杉晋作にスポットを当てて,激動の幕末における長州の活躍(浮き沈み?)を描いた作品です。

気になった一文は,その第二巻にありました。

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晋作は,思想家ではない。
思想とは本来,人間が考え出した最大の虚構―大うそ―であろう。
(中略)
思想というのは要するに論理化された夢想または空想であり,本来はまぼろしである。それを信じ,それをかつぎ,そのまぼろしを実現しようという狂信狂態の徒が出てはじめて虹のようなあざやかさを示す。
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「思想」というのは,あるいは「哲学」として読み替えても良いのかもしれませんが,一人の人間や,ある集団の行動を規定する根本的な考え方であるという気がしていました。「思想」なき行動は,「思想」に裏打ちされた行動に劣る,という気がしていたものです。それが,「最大の虚構」だといわれると,目から鱗な気がしました。

これは,ひょっとしたら,司馬氏が実体験として第2次世界大戦を経験しているからかもしれません。「思想」によって,国民が踊らされた,という気持ちがあるのではないか。終戦を境に,昨日まで正しかった「思想」が,間違った「思想」となる,「思想」なんて,そんなものだという実感があったのではないでしょうか?同じようなことを,アンパンマンの作者,やなせたかし氏も言っているような気がしています。「正義」なんて,ころころ変わる。昨日までの「正義」が,平気で覆される。普遍的な「正義」とは,飢えている人に食べ物を分け与えるということ以外にない。そう考えた中で生まれたキャラクターが「アンパンマン」だったと語っていることを聞いたことがあります。

「思想」というのは気をつけて付き合わないと,本来は「虚構」であるものに踊らされる結果になるのかもしれません。

他力 - 2012.03.29 Thu

電車通勤に戻ったので,片道30分程度の車内では,本を読むことにしています。先週は,五木寛之の「他力(たりき)」を読みました。「他力」というと浄土宗・浄土真宗ではおなじみの阿弥陀様がすべての人間を浄土へ往生するようおかけになった願。その御心=他力にお任せする意味での,他力本願が思い浮かびます。しかし,五木氏は,もちろん阿弥陀仏の話も踏まえてますが,人間の力ではない,大きな自然や宇宙の力というか,「我が計らいにあらず」という大きな意味で「他力」を使っています。

他力 (講談社文庫)他力 (講談社文庫)
(2000/11/06)
五木 寛之

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この本は,もともと,1998年に刊行された随筆集ですが,1998年当時に日本が抱えていた問題というのは,2012年現在でも全く解決されていないことに気づかされます。当時は,1995年に阪神淡路大震災が起こり,日本はバブル崩壊後の失われた10年の真っ只中。1998年は自殺者が年間3万人を超えた年でもあります。この頃の社会不安は,2012年,東日本大震災からの復興を目指す今の状況と酷似しているようです。右肩上がりではなくなった日本の状況のなかで,「他力」をキーワードに,生き方を指南してくれる本であり,「他力」という本は今まさに読むべき本なのかもしれません。ひとつ,この本でドキッとしたことは,「年間の自殺者が2万人を超えているということは(1997年は2万人台でした),阪神淡路大震災が年に3〜4回起こるほどの人が,亡くなっているということだ」という一文です。今は,年間3万もの方が命を絶っている。これは,東日本大震災の被害よりも大きいということでもあります。それが12年間も続いている。これは流石に何とかしなくてはいけないところに来ていると思います。

話を「他力」に戻しますと,今週読んでいる「精神と物質」という本で,「他力」を強烈に思い起こさせる一文がありました。この本は,立花隆が,ノーベル賞受賞者である利根川進氏へロングインタビューを行い,それをまとめた本です。ここで,利根川氏は,ノーベル賞を受賞するきっかけになった研究について,「運が良かった」と言い切ります。もちろん,それをつかむためのハードワークはあったのですが,彼はこう説明します。
「ぼくもラッキーですよ。つまりね,何かを発見するということは,研究者の努力の積み重ねだけでできるというものじゃないんですね。結局,科学というのは,自然の探求のわけね。ところがネイチャーというのはロジカルじゃないんだ。特に生命現象はロジカルじゃない。ロジカルにできていれば,理づめで考えていけばわかるはずだけど,そうじゃない。ネイチャーが今こうあるのはたまたまそうなっているというだけの話なの。生物の世界というのは,何億年にもわたる偶然の積み重ね,試行錯誤の積み重ねでいまこうなっているということであって,こうなった必然性なんてないわけですよ。」
そして利根川氏は,そのネイチャーの起こした偶然と,これまた偶然に同じ方向に研究を向けたことで,大きな発見につながったと言います。研究というのは,基本的にはロジカルな考え方が重要ではあるのですが,人間が思いつくものなど,たかが知れているということかもしれません。大きな仕事を成し遂げるときには,「他力」の力で,ただ導かれるだけなのかもしれません。そして,これがいわゆるセレンディピティといわれるものなのでしょう。

精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか (文春文庫)精神と物質―分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか (文春文庫)
(1993/10)
立花 隆、利根川 進 他

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時差ぼけ? - 2012.03.22 Thu

今週,引越しまして,5年ぶりの電車通勤がスタートしました。バスとJRで1時間強の通勤時間です。これを機会に生活を少し朝型に変更しようと試みています。早めに会社をあがれば,子供たちが起きている時間に帰ることができるからです。今までの生活から,1時間から1時間半程度,早い時間帯に起きる生活なので,夕方には,時差ぼけのときのような眠気に襲われます。そして,午前中も異様に長く感じます。

しばらくは,土日も生活時間を前倒しにして,体を慣らすことからスタートしたいと思います。
3日坊主にならないために,ブログに書いてみました。

はてさて,新しい生活リズムが定着するのやら。



Four Corners! - 2012.03.17 Sat

ホルンを吹いてきて幸せだったなと思うときのひとつは,ベルリンフィルのホルンアンサンブルを聴くときです。こんなに表現豊かで,楽しい楽器を,下手くそなりにもやっているなんて,幸せだなぁと思うのです。

今日は,2011年11月にリリースされたベルリンフィルホルンカルテットのアルバム「Four Corners!」を見つけました。メーキング動画は以下のような感じです。サラの英語は早いので,言っている内容は半分くらいしか分かりませんが,見ているだけでもメンバーの楽しい雰囲気が伝わってきます。ちなみに,シュテファン・ドールの飼い犬が,ホルンを吹くシーンは,必見かと(7:45くらい)。



このアルバムは,ホルンカルテットで,世界各地の音楽を奏でるというのが,趣旨である様子。来日公演も数多くこなすベルリンフィルだけあって,日本の音楽として,「ずいずいずっころばし」も収録されていました。そして,ベルリンフィルホルンアンサンブルの公演を見に行った方であれば,おなじみの,「東京地下鉄ポルカ」も入っています。そのおバカな動画も見つけました。ヴァレンドルフの片言日本語がたまりません。「にっしータカシマダイラ」とか「トーヨーちょう〜」とか。




クインテットの山手線の歌も面白いですが,ヴァレンドルフのバカパクさに軍配が上がるでしょうか・・・。





一足お先に - 2012.03.16 Fri

来週,引っ越しますので,上の娘は一足早く,今日が幼稚園の修了式となりました。年中さんだったこの1年で,沢山の友達ができたようで,手紙やプレゼントなどを沢山いただいて帰ってきました。ありがたい限りです。本来なら年長さんとなる4月からも,また1年間,同じ仲間で幼稚園生活を送ることができるのに,親の都合で引越しさせてしまうのは,忍びないのですが,うちの娘のことだから,新天地でもすぐに沢山の友達を作ってくれるものと信じています。担任の先生もとても良い先生で,楽しく伸び伸びとした一年を過ごすことができました。ありがとうございました。

そんな気分とは,ちょっと違うのですが,今日のYouTubeは,ファリャの三角帽子。スペインの香りプンプンです。2011年のベルリンフィルNew Year Eveコンサートの映像を見つけました。
http://youtu.be/2uGlQwy3f-c
(埋め込み禁止だったので,URLで表示しています。)

シュテファン・ドールによる「粉屋の踊り」のホルンソロ,無茶苦茶格好いいですね!(3:37付近)
「終幕の踊り」(6:44〜)も,全団員,全力で演奏していて,自然と熱くなります。三角帽子は,大学1年のときに所属オケで取り上げて初めて知った曲ですが,それ以来大好きで,時々聴いている曲です。先日,オーケストラの森で,兵庫県立芸術文化センター管弦楽団による演奏も放送されていて,こちらも素晴らしかったのですが(指揮は,佐渡裕),やはりベルリンフィルは,それ以上にすごい…。願わくば,「粉屋の女房の踊り」も聴きたかった…。

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